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headbaner

Sep 27, 2010

Chinese bluff and American profit






 【ワシントン時事】米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のクリングナー上級研究員は24日、日本が尖閣諸島沖で起きた漁船衝突事件で逮捕した中国人船長を釈放したことについて、「日本の降伏」と厳しく批判した。
 同研究員は「中国の圧力に対する日本の降伏は日本、米国、地域に否定的な影響を及ぼす」と指摘。中国人船長釈放という「日本が送ったシグナルは、アジアの平和と安定の将来にとって危険なものだ」と述べた。
 また、米政府が今回の事件を受け、日米同盟による強力な支援を表明したことを評価。ただ、日本が中国の圧力に屈服したことで、中国は挑発行為をさらに強 める恐れがあり、米国が地域・世界の脅威に対処するため日韓両国との同盟強化を図るのがより困難になるとの見方を示した。
 一方、米外交評議会のシーラ・スミス上級研究員は、中国政府が対応をエスカレートさせたことが、近隣諸国に不安をもたらしたと中国側の対応を批判。これに対し「菅内閣は事件に率直かつ冷静に対処したことで高い評価に値する」と語った。 



 政治のことはよく分からないが私の印象。

 日本は当て逃げされた暴走漁船の船長の不起訴・釈放に追い込まれ、挙句の果てに謝罪・賠償まで迫られるという19世紀の列強進出時代のごとき屈辱的な立場に追い込まれている。
 困った挙句にアメリカに泣きついて「尖閣は日米安保の対象」と宗主国からの「お言葉」を頂かねばならなくなったわけだ。

 そのアメリカと中国は先日、サマーズ国家経済会議(NEC)委員長が北京の人民大会堂で胡錦濤国家主席と会談して、台湾武器供与以来の冷えた関係から歩み寄って軍事交流を再開しようとしているのだという。
 アメリカは尖閣問題を他人事のように論評しながら、日中の対立をよそに、米中は日本の頭越しに「尖閣」を抜きにした外交を展開しているのだ。


 結局、一連の流れを俯瞰してみると、アメリカが日中対立の間で「漁夫の利」を得ているように感じるのは私だけだろうか。


 今回の事件で多くの日本人が感じた恥辱と悔しさは、恐らくは北朝鮮の拉致問題が表面化したとき、それ以上に値するものであったのではないか。日頃ナショナリズムとは無縁に暮らしている人々の眠っていた愛国心にも大きく火をつけたに違いない。

 だが我が国の政府は独自の外交をしようとしても中国相手に負けっぱなしであって、日本は結局日米同盟に頼らざるを得ない。
 言い換えればアメリカという「宗主国」にすがらなければ日本は中国相手に何も出来ないのではないか?
 このアメリカに対する諦念のような見方は多くの国民の中でコンセンサスとなっているように思う。

 つまり、日米同盟で守ってもらう代わりに、今まで通りアメリカの属国として言いなりになるしかないのではないかという結論が暗黙のうちに引き出されるのではないかと思う。


 ここで重要な局面を迎えるのは、沖縄の普天間基地移設問題である。


 鳩山政権を倒閣に追い込み、菅政権の参院選惨敗をもたらした民意の底には、基地問題に関して裏切られ切り捨てられた沖縄への本土の人々の潜在的なシンパシーが少なからずあったのではないかと私は思う。
 そうした沖縄への支援に傾きかけている潜在的な民意を後ろ盾にするかのように、辺野古移設に反対する名護市市議選挙が行われ移設反対派の圧倒的勝利があり、11月知事選に向けて、これまで立ち位置をはっきりさせてこなかった現職・仲井真知事も基地の「県外移設」を公約に盛り込む事態が導かれた。

 その流れの中で起こった尖閣漁船事件は、米軍海兵隊を追い出したい沖縄県民からすればまさに最悪のタイミングで迎えた災厄とも言えるのではないか。

 なぜなら、今回の尖閣事件で屈辱的外交を見せつけられナショナリズムを焚きつけられた多くの本土日本人は、日米同盟への更なる依存を現状として認めざるを得なくなるわけで、その結果、尖閣の直近に位置する軍事拠点としての沖縄の役割を現状追随的に認識させられるに違いないからである。
 つまり、沖縄の基地負担に少なからず同情を寄せつつあった世論の傾きが一気に「日米同盟への更なる依存=在沖縄米軍の要求への無条件の妥協」へとシフトが逆行する可能性がある。沖縄の呻きにようやく耳を傾けつつあった本土の民意を、民主政権やアメリカの言うままに元へと覆し、主権外交なき日本の為にまたしても沖縄を捨石へ追い込みかねないわけだからだ。


 焚きつけられたナショナリズムが何者かの見えないフリーハンドによって無自覚に我々の選択を消し去っていく。


 なにより私がアメリカをしたたかだと思うのは、
 「中国の圧力に対する日本の降伏は日本、米国、地域に否定的な影響を及ぼす」とか自分たちもが利害の当事者に含まれるかのように日本に責任を課しておきながら、
 腹の底では、
 「日米同盟についてちょこっと日本にエサを撒いてやれば、沖縄の基地問題も俺たちの言いなりに出来る」
てなふうに計算して発言しているようなアメリカの黒い腹芸が透けて見えてくるところにある。
 


 基地問題という懸案を合わせ鏡として今回の尖閣事件を映し出してみれば、これが中国の単なる19世紀の列強のような古めかしい業腹っぷりに留まらず、背景に多くの意図的な青写真が巧妙に織り込まれているように私は思えてならない。


 今回の漁船当て逃げ事件は、そういった何者かの意思を踏まえた上での、実は作為的に行われた謀略として疑ってみてもよいのではないか。 


 謀略とは勘繰りすぎだとしてみても、アメリカと中国が互いの利益を見積もった上で事後的に裏で手を結んでいるのかも知れないと私が疑うとすると、それは果たして飛躍しすぎなのだろうか。







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